2011年10月04日

旅プロ 秋のツアー行ってきました 【東京事務局】

週末に、認知症の人と家族、旅サポのみなさんと日帰りバスツアーに行ってきました。

名付けて「収穫の秋!味覚狩りとバーベキュー秩父日帰りツアー」

認知症フレンドシップクラブと旅行会社がコラボ企画の第二弾として実施しました。
旅サポのみなさんには、事前のワークショップを行い、認知症の人とどのように接したらいいのか、話し合い、考えてきてもらっています。この日参加してくれた旅サポは、大学生と若手社会人のみなさんでした。

集合後、まずはバスの中で、旅サポのみなさんとご本人・ご家族が出会うゲームをしました。お互いにテーマに沿ったインタビューをしたり、お互いの共通点を探したりします。最初は、緊張気味だったみなさんも、話すうちに和やかな雰囲気になり、自然とお互いのことをよく知っていきます。

この日のメイン企画は、いも堀り。
今年はちょっと小ぶりの芋が多いそうですが、みんなで協力して掘ることができました。楽しいことには自然と笑顔が・・・。

お昼にBBQをして、お腹がいっぱいになった後は、デザートのぶどう狩り。今回の参加者には、果物好きが多く、中には一人で巨峰を6房食べたツワモノも。

トイレや見守りなど、サポートが必要な時には、ちょっとだけ旅サポの力を借りつつ、基本的にはいろんな世代の人が集まり、お互いを知り、楽しい時間を過ごすことができました。楽しい雰囲気を作り出してくれたご本人、ご家族、旅サポのみなさん、ありがとうございました。

私たちの旅の一行は、他の人たちからは、どんな風に見えたのでしょうか。

この日の農園には、他にも、子連れの家族だったり、若いカップル、地区の老人クラブなども参加していました。でも、大家族でもないのに、大学生から70代までのメンバーが集まり、一緒に時間を楽しみ、時々必要なサポートをしているという風景は珍しかったのではないでしょうか。

旅行の内容自体は決して珍しいものではありませんが、認知症になると、その人や家族が、こうした当たり前の旅行を楽しむことが難しくなります。それは、物理的なバリアだけでなく、ちょっとした遠慮だったり、周囲の視線だったり、精神的あるいは社会的なバリアも大きく関係しています。

今回の旅行は、来年度からの本格運用に向けたモニターツアーということで、まだ改善すべき点も多いのですが、旅サポの方たちとの出会い、そして旅を通じた交流は、精神的・社会的バリアになにか変化がもたらせるのではないか、そんな気がした一日でした。

先日、別の家族会の方で、長年ご主人を介護され、数年前に看取ったという方がこんな話をしていました。

「認知症になり、仲の良かった主人からの暴言が一番つらかった。いくら、病気のことや本人の不安について理解しているつもりでも、「お前と結婚したことが最大の間違いだった」と言われた時には、本当にショックだった。でも、そんな主人でも、年に何回かのバス旅行に出かけると、旅先では 本当にいい表情をしていた。経済的に余裕はなかったけれど、必死で安いバスツアーを探しては、でかけていました。」

長い日常からすれば、旅は一瞬ですが、一瞬が長い日常に、希望を灯すこともあるのだと思います。まだまだ、クリアすべき課題はありますが、そんな灯がともせるプロジェクトへ発展させていきたいと思います。