2020年11月30日

開催レポート オンラインイベント 多世代コンペ2020

2020年11月21日、多世代まちづくりコンペティション2020、初のオンライン形式で開催しました。
3回目となる「多世代まちづくりプロジェクト 〜学生とともに考える認知症まちづくり〜」は、初めて高校生も参加し、地域の活動と取り組みを進めているケースが目立つなど、実現可能性の高い、新しいまちづくりの形を予感させるコンペティションとなりました。

学生と認知症フレンドシップクラブ事務局がコラボして実現したい企画としてプレゼンテーションされたプロジェクトの概要と、3賞の結果、参加者の声を紹介します。


・コンペティション プロジェクト一覧

•「絵本・紙芝居で子どもから社会へつなげよう 」 畿央大学健康科学部看護医療学科 × 奈良事務局

若い世代が認知症に対して「興味・関心、知る機会」がないという課題を改善するため、見聞きしたことに興味を示す子ども向けの絵本・紙芝居の制作を発案。国内・海外の事例なども参考に、DFC奈良事務局とコラボして、認知症当事者と制作したい。絵本や紙芝居による読み聞かせを通して、子どもを起点にした社会的インパクトをめざし、子どもから語る親世代への能動的なアプローチを目標としている。

•「オレンジ色から広がる虹色コミュニティPJ 」熊本大学医学部保健学科 × 山鹿事務局

認知症になっても安心して暮らせるまちをめざして「熊本オレンジ学園」を設立したい。農学部、教育学部、商学部の設置を通して、農産物の収穫や子ども食堂、教育や商品開発を計画し、Webサイト等でコミュニティ活動を展開。当事者と一緒に、地域の多世代の人々がつながるコミュニティづくりと持続可能なスタイルを設計できるよう、専門家や企業と連携した展開をめざす。

•「『旅のことば』で小中高大当事者をつなぐ 」 熊本県立第二高等学校家庭クラブ × 山鹿事務局

『旅のことば』をクラスで使うとコミュニケーションが豊かになった。このアイテムを活用し、当事者と大学生、小学生も一緒に使って、どのような変化があるか知りたい。2020年、当事者を理解するため「ひとりでRUN伴」にクラスで参加。ゴールを当事者の丹野さんの地域・宮城に設定し、オンライン交流も実施。本人の言葉に大変刺激を受けた。活動は、変化を伝えるムービーの制作費に使いたい。

•「ハイブリッド型多機能ハウス」日本福祉大学社会福祉学部社会福祉学科 × 奈良事務局

多世代の人が地域で集える多機能ハウスをつくりたい。一般のカフェのように、気軽に立ち寄れる居心地のよい空間をめざす。DFC奈良事務局や社会福祉協議会など地元で活動する人と一緒に、地域のニーズを調査。地元カフェや大学での開設を実現したい。多様な人が訪れやすく、活動を通して一緒に働いたり、得意分野で活躍できる機会を形にしたい。

•「高校生グループホームインターン」 CAN-PASS × 帯広事務局

高校生が認知症について知る機会を作るため、グループホームに高校生がインターンに行くプログラムを企画。DFC帯広事務局の勉強会と、グループホームでの実体験を通して学びを深めたい。業務体験最終日には高校生自身が気づきを発表する予定。ボランティアに興味がある学生は多い、インターン参加者から口コミで楽しさが広がることをイメージして十勝管内全ての学校に呼びかけている。


結果発表・表彰・講評
全てのプロジェクトに助成したいが、今回は3本のみ。評価基準は、具体性、実現可能性、機動力、将来性、フレンドリーなどを考慮した。
年々、実現可能性の高いプロジェクトが増えて来た。今回は、実際に動き、チームやグループでの取り組みが始まっているケースが目立つ。今後も、地域の活動とコラボして継続して欲しい。

・優秀賞:「『旅のことば』で小中高大当事者をつなぐ 」 熊本県立第二高等学校家庭クラブ
⇨講評:熊本大学と一緒に、高校生と大学生で力を合わせて活用して欲しい。熊本という塊で一緒に活動してもらいたい。応援することで応援されることがある。大学生の活動を応援したり、参加して共有して活動を盛り上げて欲しい。

・フレンドシップクラブ賞:「高校生グループホームインターン」 CAN-PASS
⇨講評:個々のプロジェクトが全国でも展開できる取り組みなので、ステップを踏んで、他の地域に教えるような立場になることを期待する。

・参加者賞:「絵本・紙芝居で子どもから社会へつなげよう 」 畿央大学健康科学部看護医療学科
⇨講評:本人の活動や家族会など地域の活動と連携し、地元の幼稚園とつながって実現してほしい。

その他、学生自身の「自分としてできることは何だろう」という視点から活動がスタートしている点がよい、学部のプロジェクトを始めようというのが面白い、どれも他の地域で応用の効く活動で実践を継続して欲しい、など講評がありました。

参加者アンケートから

 ・学生さんたちが認知症のことを理解し安心して住み続けられるまちづくりに真剣取り組んでおられるのに感心しました。この取り組みが全国に広まり素敵なまちづくりをしていきましょう。応援しています。
 ・どの発表も当事者と関わることを重要視していてサーポート講座を聴いて学ぶだけではなく、実際に関わって理解することが大切だと改めて思いました。
 ・オンラインを活用してプロジェクトを進めていくことが可能だということが印象的でした!
 ・この度、初参加です。子や孫がいない私も、次世代の発表を体験出来るとても貴重な機会を頂けて感謝しております。
 ・このようなプロジェクトがいくつも育ちSDGsの理念である誰一人取り残さない未来づくりをジブンゴトとして前に進めていく仲間づくりをやっていきたいですね。本日はありがとうございました。
 ・CAN-PASSのインターンの取り組みがモデルとなり、各地に波及していくと本当に楽しみな取り組みだと思いました。うちのグループホームにも高校生来て欲しいなぁと思いました。
 ・認知症のある人への理解がさらに深まることや、その人らしさの部分に着目することの出来る機会が増えれば良いと思っています。


本コンペティションで学生が発表したプロジェクトは、学生と事務局が精一杯考え発表しました。
発表プロジェクトのアイディアをもとにした活動や事業化を考えている方は、認知症フレンドシップクラブまでご連絡をいただけましたら幸いです。
ご連絡は、お問合せフォームよりお願いいたします。

同時開催の「認知症まちづくり基金2020 中間活動報告会」のレポートはこちらをご覧ください。