2019年09月05日
【レポート】 本をきっかけにした“認知症にやさしい”まちづくりワークショップ
日時:2019年8月19日(月)
於:町田市役所3階3-1会議室
参加者:71人
認知症フレンドリーコミュティとして施策を展開する町田市では、毎年、様々なテーマで、町田市内で行われている取り組みの報告会を開いてきました。今回は、「認知症の本人が書いた本」をきっかけに広がるまちづくりのお話です。
町田市の書店を歩いてみると、「認知症 本人 エッセイ」のコーナーを設けている書店に出あいます。
・2019年1月16日~くまざわ書店町田根岸店
・2018年2月12日~久美堂本店
・2019年4月6日~ TSUTAYA町田木曽店
「認知症本人エッセイ」とは、何でしょうか? 認知症の診断を受けた人が、想いや生活の工夫、多くの人に知って欲しいことをご自身の言葉で記したエッセイのことです。認知症に関する専門書や技術書ではありません。認知症の診断を受けたからこそ、語れること。その語りから、私たちは多くのことを知ることができます。
今回のワークショップでは、実際に「認知症 本人 エッセイ」の書棚を設けた市内の2つの書店の店長さんがお越しくださいました。
西堀博士さん(くまざわ書店町田根岸店店長)と、加藤充さん(TSUTAYA町田木曽店店長)です。西堀さんは、「市が積極的に関わっていることで協力しやすくなり、実際に売り上げも伸びている」ということでした。そして、加藤さんは、書店の役割として「地域の課題解決」という明確なコンセプトを持っていること。そして「本の売り上げも大切だけれど、認知症に関連した勉強会やワークショップ等が定期的に継続的に行われることがいいんです」と仰っていました。本が売れることだけではないところに意義を見出している地域の書店ならではのお話でした。
後半は、地域のあんしん相談センターで開かれている認知症の本人が書いた本の読書会のお話。毎回、認知症のある本人、家族などが集って、本の一節を読み、感想を語り合っています。参加者のおひとりは、「認知症の本人の本の中には、葛藤やホンネなど、弱さを開示してあることが多い。そんな一節を読むことで、会場にやさしさが広がり、参加者が自然に自分のことを話すことができたり、本音を語ることができるようになる」とおっしゃっていました。会場からは「本は、認知症と診断されたあとの“空白の期間”を埋めてくれる。診断されたあとすぐに手にとれるよう、医療機関に本を並べてはどうか」と、今後の活動の広がりを求める声もあがりました。また、読書会を開きたいという複数の手もあがり、まさに「本から始まるまちづくり」が進められていることを実感できました。
今回のワークショップを通じてわかったことは、本があるから、日ごろはなさない自分のことを話せて、お互いに「こういうひとなのだ」と知り合うことができる。それが街づくりの基盤になる、ということ。また、本人が書いた本は「実用書」であり、読むか読まないかでその後の人生に大きな違いが生まれる。たとえば「家庭の医学」のように、本屋に必ずある本になったほうがいいと思いました。
参加してくれた皆さま、ありがとうございました。引き続き、様々なテーマで、こうした学びの場を設けていきます。