2018年08月04日

認知症まちづくりファシリテーター 修了生インタビュー No.3

第2回認知症まちづくりファシリテーター講座を受講し、その後、川崎市で認知症まちづくりファシリテーターとして活躍する舟田さんにお話を聞きました。

〜〜 〜〜 〜〜 〜〜
第2回 認知症まちづくりファシリテーター講座修了生
神奈川県川崎 舟田さん(写真右)

—— 認知症まちづくりファシリテーター講座を受講した理由は何ですか?

私が勤める図書館に、認知症と思われる利用者の方がお越しくださることに気づき、図書館として何かできないかと「認知症の人にやさしい小さな本棚」という常設コーナーを2015年12月に設置しました。認知症当事者、その家族、市民と、様々な方が利用してくださるような取り組みを始めた頃に、認知症フレンドシップクラブ理事の徳田さんとお会いして、講座にお誘いをいただきました。

「図書館が認知症に対して何ができるのだろう」と全く先が見えない状況の中、とにかく「図書館員ではなく、認知症に関心のある“ひと”そして“機関”……」としてつながり、様々な情報を得たかったことが大きいです。そして、図書館も地域資源として「皆さんと一緒にできることがありませんか?」と図書館の有用性を知ってほしかったので、参加させていただいきました。

—— 認知症まちづくりファシリテーター講座は、地域を本当に変えていくために、3名1チームでの参加になっています。どのようにしてチームを作ったのですが?
川崎市の地域包括ケア推進室の職員が図書館の事業の後押しをしてくれました。私より若いのですがとてもしっかりしている社会福祉士です。その職員とのつながりでソーシャルケースワーカーと病院の看護師とそして図書館員が集まりました。このコラボチームは、ゆるくつながっています。

——受講する前の地域やご自身の活動はどうでしたか?
普段は、図書館の視点でモノを見ることが多かったのです。専門職の方々と情報共有することすらありませんでした。そして、介護や福祉、その地域の中の生の声を聞くことができず、この先何をすればよいのか迷っていました。

  

——受講することで、今までの取り組みはどのように変わりましたか?
様々な多職種の方々とつながることができて、さらに発想や視点が広がり、そしてお互いの情報交換や各々の事業で何か補完できることがないか、など様々なアイデアが生まれてきました。また、図書館が地域包括ケアシステムの一端を担う地域資源になりうることができそうな展望が見えています。まだまだ模索中で結論は出ないと思いますが、前進あるのみです!

——認知症まちづくりの取り組みによって、認知症当事者に変化はありましたか?
主だって特に今はありませんが、図書館の現場では当事者自身が図書館を利用しやすいように配慮したり、また、当事者を意識した市民啓発の事業を企画するなど準備を進めています。

——当事者や支援者の変化だけでなく、まちの変化で感じていることはありますか?
川崎市で行なわれるRUN伴の写真を図書館でパネル展示すると、市民の方から声をかけられるようになりました。その後、その方や私も、RUN伴の実行委員として参加しています。今年度は、タスキリレーのスタート地点が私たちの図書館になるなど、市民と近い私のような図書館員が地域のイベントに関われることに感謝しています。
よく周囲から「何が本業なのかわからない」と言われます。今ある立場という枠にとらわれず、何かワクワクするようなことを積極的に仕掛けていきたいです。

意識を変えることは、何かきっかけがないと難しく、きっかけがないまま前進できないところは多いと思うのです。私にとってファシリテーター講座を受講したことは、まさにこのような取り組みを前進させるための一つのきっかけになったと思います。
そして、地域の中で多職種の方たちと様々な価値観を共有し、認知症にやさしいまちを一緒に作り上げていくことができればいいなと思っています。