2018年08月02日

認知症まちづくりファシリテーター 修了生インタビュー No.2

第1回認知症まちづくりファシリテーター講座を受講し、その後、東広島市で認知症まちづくりファシリテーターとして活躍する牛尾さんにお話を聞きました。

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第1回 認知症まちづくりファシリテーター講座修了生
広島県東広島市 牛尾さん(写真前列左)

—— 認知症まちづくりファシリテーター講座を受講した理由は何ですか?
東広島市では「オレンジ交流会」という、認知症専門医、認知症介護リーダー研修修了者、キャラバン・メイトで構成されている約60名の集まりを年二回開催しています。私は、この交流会でファシリテーターを担当していたので、より学びを深め、皆が話しやすい場を作る方法を知りたいと思い参加しました。認知症フレンドシップクラブのイベントは他にも参加していて質や満足度が高いので決めました。

 

—— 認知症まちづくりファシリテーター講座は、地域を本当に変えていくために、3名1チームでの参加になっています。どのようにしてチームを作ったのですが?

東広島市の高齢者支援課主任保健師の方と、いつも相談しながらオレンジ交流会を運営していたので、彼女を誘って2名で参加しました。中心的に運営を行っている方だったので、彼女が一緒ならより現実的に地域活動が進んでいくのではないかと考えました。

 

——受講する前の地域やご自身の活動はどうでしたか?

認知症の方を地域で支えていこう、という機運が高まってきていた時期だと思います。東広島市の高齢者支援課が関係職種と連携し、オレンジ交流会参加者の中でも更に積極的に活動したいというメンバーを募り、認知症相談会などを行う「オレンジ有志の会」などの活動も始まっていました。
私もオレンジ有志の会の中心メンバーとして活動していたのですが、参加メンバーの固定化という課題も起きはじめていました。

 

 

 

 

 

 

——受講することで、今までの取り組みはどのように変わりましたか?

受講後、「多職種交流会」を開催しました。介護予防に取り組んでいるリハビリ職の人に講座内容を話したことがきっかけになったのですが、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ケアマネージャー、介護職、薬剤師、会社員など、80名を超える方が集まりました。
開催を呼びかけるポスターを職場に貼ったり、仲間に直接「立食で人脈つくろう」と声をかけた結果だと思います。講座で習った方法を用いながら「いつまでも健康に暮らせる東広島のために、自らができることは?」という問いで対話し、これまでにない多職種での交流ができました。
また、これまでは先進地区の講師を招いた講演が多かったのですが、グループワークをすることで支援者もワークショップになれてきて、地域版オレンジ交流会(黒瀬オレンジ会、安芸津オレンジ会)が誕生し、各地で様々な活動を取り組みはじめました。

 

——認知症まちづくりの取り組みによって、認知症当事者に変化はありましたか?

わかりやすい変化はまだ見られませんが、認知症の人と地域の人がタスキをつないで走る「RUN伴+東広島」の報告会では、当事者の方が「参加してよかった。みんなに支えてもらい、今後も好きなことを続けたい」と発表されました。認知症になっても変わらず楽しく暮らしていける、ということを当事者の方に感じてもらい、一緒に活動できたらと思います。

 

——当事者や支援者の変化だけでなく、まちの変化で感じていることはありますか?

新しい動きとして、地域の方々との今までにない交流が生まれています。オレンジ交流会のグループワークで、「地域の方々に認知症についてもっと知ってもらいたい。施設に来てほしい」という声があがり、そこから「施設で広島カープのライブビューイングを開催し、皆で盛り上がろう!」という企画が生まれました。特別養護老人ホームの施設内で行ったのですが、地域の方々や当事者のご家族など、様々な方が参加されました。ケアマネージャーの発案から、チラシを作ってくばったりカープファンに声かけしたり。広島はチケットが手に入りにくいので、一人で観戦するよりも、みんなで応援するのが楽しかったと好評だったそうです。カープの人気選手をもじって作った当日限定の「特製カープ弁当」に惹き付けられた人もいて、地元にはいろいろなアイデアがあると改めて思いました。

これは一つの例なのですが、対話を通じて、実現したいビジョンとそれに向けてできることを考え、一緒に実行する仲間が増えてきたと感じています。また、認知症サポーター養成講座の新規・継続開催する地元企業が増えたり、認知症関連イベントの協賛団体が増えたり、認知症まちづくりの活動に興味を持ってくださる異業種との繋がりも広がっています。
秋には、100人規模の「誰もが住みやすい東広島を考える」交流会を開催し、一緒に楽しむ仲間をさらに増やしていきたいと考えています。

【申込8月5日まで】
9月開催:認知症まちづくりファシリテーター講座・参加チーム募集中!

http://dfc.or.jp/news/4601