2016年07月18日
レポート:認知症地域ネットワークフォーラム2016 in 三重(関西)
認知症地域ネットワークフォーラムin関西、今年は7月9日(土)三重県津市で開催いたしました。
関西でのフォーラムも3回目を迎え、今年のフォーラムは、伊勢志摩サミットG7にちなんで『D7~認知症当事者からの発信~』をテーマに行いました。
各地でさまざまなフォーラムやシンポジウムが開催される中、埼玉・静岡・愛知・大阪・三重の5府県7都市から当事者の方が集まり、コーディネーターもレビー小体型認知症の方が担うという“当事者の当事者によるシンポジウム”は全国でも初めて行われたであろう貴重な時間であったと思います。
前夜から当日朝にかけて今年第1号の台風の影響でお天気は荒れ模様。早朝には「警報」が発令されるも、開催する午後には雨もあがりました。
「当事者の方の声を聞こう」と開場前から参加者の行列ができ、およそ200名の方が参加されました。
まずは、RUN伴2015の報告、そして昨年制作し今年2月に一般公開したRUN伴のプロモーション映像へと続きます。RUN伴プロモーション映像では制作にかかわった富士通研究所の岡田氏より映像に関する説明のあと、認知症の人の声や笑顔がスクリーンに映し出され、会場内の参加者は当事者の生き生きとした表情に見入り、発言される言葉に聞き入りました。
第2部のシンポジウムでは、コーディネーターの樋口直美さんのアイスブレイク「は~い」といいながら握手からのスタート。
会場全体が笑いで包まれますが、本題に入ると直ぐに樋口さんから「少し重い話になりますが」という前置きをされたのち、「診断されたときにショックを受けた人は?」と登壇者へ質問が投げかけられ、全員が手を挙げました。認知症の宣告という人生最大のショックを受けた後、樋口さんが「復活」と表現する、認知症になる前と変わらず外出をするようになったり、自分のことをオープンにしようと思うまでの葛藤や経緯について、複数の当事者からお話を聞くことができました。
認知症は見た目にはわからない、見えない障がいで理解してもらいにくいと樋口さんはいいます。確かに、体力があり元気な人であれば見た目はほとんど分からない人が少なくありません。だからこそ、認知症のことを正しく理解してほしいと話されました。
今回初めて公の場でご自身の病気についてお話をされた山田さんは「認知症だということを周囲にオープンにしてから助けてもらえることがわかった」と語りました。
また、昨年より講演活動を始められた曽根勝さんは、友達の力や奥様のサポートによって「僕も遊んだり話したり、走ったりしてもいいんだ」と思えたこと。そして、僕みたいな思いをしている人や、少しでも辛い思いをしている人に「大丈夫なんやで」と言える自分になれたと話されると、参加者全員は胸が熱くなり、登壇者の中には涙をする姿も見えました。
質疑応答では、会場からの質問と同時に「認知症に対する正しい知識を持てば、当事者がもっと楽しく生活できるのではないかと思う」など、正しい理解を広めていきたいといった感想もありました。
コーディネーターの樋口さんは最後に、「困ったとき、すっと自然に助けてくれると、社会の中で暮らすことができる」と結びました。
社会には認知症の人だけではなく、さまざまな人が暮らしています。
「社会の優しさ」
それは、社会が今抱えている問題にもつながり、社会が優しくなれば認知症の人もそうでない人も一緒に安心して暮らすことができるということにつながると感じました。
また、医師の立場で友情登壇いただいた笠間先生の「告知を乗り越えて、夢と希望を支えていく。これは非常に大切です」という言葉は、参加者の胸に刻み込まれたように思います。
「認知症の正しい理解を広げ、困ったときに自然に手を差し伸べよう」と会場の参加者全員が改めて意識し、笑いあり涙ありの温かな雰囲気の中で終了した津市での認知症地域ネットワークフォーラムでした。
これから全国各地で認知症地域ネットワークフォーラムが開催されていきます。開催地域のお近くの方は、是非ご参加ください。
フォーラム情報および認知症フレンドシップクラブの新着ニュースはこちらでご確認ください。http://dfc.or.jp/news
レポート:浦野典子