2017年04月15日

レポート:認知症地域ネットワークフォーラム北海道ブロック in 札幌市

【レポート:認知症地域ネットワークフォーラムin札幌】
3月4日に北海道札幌市でで開催された認知症地域ネットワークフォーラムのレポートをお伝えします。

講演、トークセッション、ワークショップの3部構成の盛りだくさんなフォーラムでした。オープニングでは、代表の井出先生から北海道から始まったRUN伴の歴史、そして認知症地域ネットワークフォーラムについて説明いただきました。

第1部は、大阪府からのゲストの若年性認知症の人と家族と地域支えあいの会「希望の灯り」 代表の下薗誠さんの講演でした。下薗さんが活動している堺市南区の課題、そして課題に対して地域の中でボトムアップに問題発見・解決をしてきた活動を「認知症 × 自分ごと = 認知症にやさしいまち」というテーマで話してただきました。

最近では多く見られるようになった、小学生に対する認知症の啓発活動ですが、下園さんは7年近く前から小学校6年生を対象にした啓発活動や施設への見学を実施してきたそうです。これまで700名が参加しており、最初の年の参加者のことたちは現在19歳になっているとのことです。目的は世代に応じた啓発活動で、真のターゲットは親の世代だと言いました。そのために、小学生に感想を書いてもらうだけではなく、親にその感想を見せ、親からも感想をもらい、印鑑を押してもらってから学校に提出してもらうというようにしているそうです。

そのほか、地域の認知症に対する意識調査を行うために調査の下地づくりをしたり、楽しく参加できるような仕掛けとして「笑いと健康 認知症予防フェスティバル」を開催したそうです。また、イベント等に参加できない人たちのために日常生活の中に溶け込ませていく工夫として、冷蔵庫に貼れるマグネットに活動内容を載せたり、地域への働きかけとしてスーパーで認知症理解のチラシ配布したり、ポスターを貼ってもらったり、認知症サポーター養成口座を受けてもらった人たちと一緒に、街中に「おひさまシール」を貼り、自分の地域ということをして認識してもらえるような仕掛けづくりなど、認知症に対する肯定的な態度を醸成することに力を注いてきたそうです。

最後に今後の展望として、「地域の自立力をつける」ことが重要で、そのために、地域に根ざした認知症コーディネート能力を発揮していくこと、地域の認知症にかかる支援・援助をコーディネートできる経験値の高いソーシャルワーカー、認知症ケア専門士、認知症介護指導者などの地域配置が大切で、地域がそのような人たちを雇用していけるようになっていく必要があるとおっしゃり、参加者はうなづきながら話を聞いていまいた。

第2部では、「認知症と共に前を向く」というテーマで大阪府からのゲストである「希望の灯り」の曽根勝一道さん、重美さんとバディの下薗さんのトークセッションでした。バディの下薗さんと曽根勝さんご夫妻の絶妙な掛け合いで、会場は笑いと感動に包まれました。

バディの下薗さんに出会うまで6年間、若年生アルツハイマーという事実しかわからず、どこにどう動いて良いのか、ネガティブな情報しかなく、家族会へもどうやってつながれば良いのかわからなかったそうです。一歩前に出る気もなかったし、ずっと2人の世界で、自分はどうして良いのかわからなかったが、このままの生活ではよくないなと感じて、様々な講演会等に参加し、下園さんと出会ったそうです。

6年前の話をしているときは、下を向きがちな一道さんでしたが、現在の話をしているときは明るく前を向いて、下薗さんと出会ったことは自分にとってすごく嬉しいこと、今は楽しく過ごしていますとおっしゃりました。じっとしていることが苦手で、毎日走っていたりと、ほとんど毎日外に出ているそうです。

認知症になってよかったことはありますか?という質問に対して、「嬉しいことではないけど、認知症になってからの方が友達が来てくれて嬉しいことが多くなって来た。いろんな人、地域の人が気遣ってくださったり、本当に楽しいことが多い。返していかないといけないことが多い。」と答えました。

フォーラムの参加者に向けて伝えたいこととして、一道さんは「少しでもできることを探して、もっともっと頑張っていきたいと思う。これからも元気に、困っている人がいたら少しでも助けられるような自分になりたいと思います。」と力強く、前を向いて話しました。重美さんは「診断は早期であればあるほど良いと思います。次の診断が1ヶ月後とかして、何をしていいいかわからなかったので、この時期が大変なのではないかと思う。見守ってくれたり、きめ細かい支援があればいいなと思う。」と話しました。実際にそのため活動として「まちかどライブラリー」企画をやっているそうです。図書館に行ったところネガティブな情報しかなくどうして良いかわからなかったという経験から、実際に自分が元気をもらった本や冊子を選び、薬剤師会と連携し移動式の図書館をやっているそうです。

下園さんはこの「まちかどライブラリー」が全国に広がって行ってくれたら嬉しいとおっしゃりました。背中を見せていかないと後が続いて来ない、やりたい・やると思った人がやる、やらないと進んでいかない。ぜひ札幌でも実施してほしいと会場の参加者に呼びかけました。

第3部では、下園さん、曽根勝さんご夫妻の話を聞いて、自分たちの地域ではどのようなことができるのか、「認知症×地域×ジブンゴト」というテーマでワークショップを認知症フレンドシップクラブの事務局の金子が実施しました。認知症とともによりよく生きるためにヒントが書かれている「旅のことば」カードを用い、講演とトークセッションの内容をしっかり踏まえつつも、自分の地域でどうしたいか、自分の地域だったらどのようなことができるか話し合いました。短時間にもかかわらず、しっかり講演の内容をジブンゴト化でき、どのチームからも素敵なアイデアがたくさん出て来ました。

札幌でフォーラムをきっかけにどのようなアクションが始まっていくのか楽しみです!!