2016年02月20日

第一回 認知症まちづくりファシリテーター講座 レポート

2月20,21日に行われた『第一回 認知症まちづくりファシリテーター講座』は、定員オーバーとなるたくさんの応募の中から、まちづくりへの意欲溢れる参加者が集った二日間となりました。

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「認知症の人は、日々の暮らしで地域との関係性が欠かせないのに、イベントをやって終わってしまい日常の変化までなかなか進まない」「まちづくりへの思いがあっても、今の自分に何ができるのか分からない」。自己紹介で、思いのたけを語りあうところからスタートです。

やる気みなぎる受講生の挨拶に、講師のフューチャーセッションズ・野村さんと芝池さんの気合いも十分。
まずは、ファシリテーションの概念、そして方法論を学びます。 野村さんにリードされる会場は、まるで熟練の整体師が、凝り固まったお客の身体をほぐしていくようでした。
説明は非常に具体的で分かりやすく、地域活動をしていると遭遇する“あるある”な実例を織り交ぜた表現が続きます。「そうそう」「なるほど〜」と、思わず声に出してつぶやく人が続出です。
特効薬を処方されて終わりではなく、自分(まち)の現状を理解し、自力で改善していく方法(まちづくり)を持ち帰ってもらうことを目指す、という講座の目標が共有されていきます。

バラエティ豊かな講師の方の経験を伺った後、一日目の後半は、「認知症の人が自分らしく暮らせるまちづくり」をテーマに、野村さんのリードで複数のファシリテーションを経験しました。
前向きな雰囲気から、自由で活発な意見が飛びかい、周囲のアイデアがアイデアをうみ出し、頭が高速回転してきたところで一日目が終了。そこで明日の課題が発表されました。

初日に学んだファシリテーションの手法を用いて、二日目は、自分達のまちに照らし合わせたセッションを実践してもらうスケジュールが発表されたのです。どんなセッションを展開するか、明日までに内容を決めなければいけません。
ここで珍しい展開がおこります。講座は終了したというのに、みな懇親会の会場へなかなか移動してくれないのです。
普通なら、はやく乾杯をせがまれるはずが……、セッションの打合せのために真面目な話が止まらない。
参加者の本気度が伝わってきます。(でも懇親会はしっかりのみました!)

二日目。

新潟コンビ奈良と茅野谷川さん

 

 

 

 

地域ごとにチームを作り、3グループ同時進行の形でファシリテーションを実践していきます。中には、ファシリテーター初挑戦となる人もいたようですが、どのセッションもおおいに盛り上がりました。

的確なアドバイスをはさむ講師の方や、参加者同士が積極的に声をあげながら、相手の意見をしっかり聴き、言葉を引き出そうと懸命です。それぞれのセッションは、「より良くなるための提案」の振り返りを行って拍手で終了。
この形を何度も繰り返すうちに、まちづくりに欠かせない、関係性の大切さ、仲間で場をつくっていく重要性などをつかんでいくようで、受講生の表情がどんどん輝き出しました。

頭をフル活用し、言葉に表し、じっくり語りあえた二日間。
最後は、全員で円を作り、今回の収穫を述べて終わりました。

(以下、主なコメント)
・ 自分の中で漠然としていたものがセッションをすることで明確になった
・ すぐに効果がなかったとしても修正する方法を学べた。日々の生活にも活かせる
・ ワクワクが大事。楽しい雰囲気だと、いろんな意見が出てくると実感
・ この二日間で自分の地域の良い所に気づくことができた
・ このセッションで実際に人が変わるのを目にした。地域でも実践したい
・プラスのエネルギーを持っている人が話せば世界も変わると思えた

前日に集合した時には、「地域に理解者がいない、周囲が動いてくれない」という声が多かったことが、まるで遠い昔のような力強い言葉ばかりです。
「周りがどうであれ、まずは自分が動きたい」という確かな意志が伝わるクロージングとなりました。

もちろん、歴史ある地域の暮らしを変えていくことは簡単ではないでしょう。それでも、今回のメンバーが各地でチャレンジしていくことで、日本全体が認知症フレンドリーになっていく未来を描けたことが大きな達成感となって残りました。修了生みなが話していたように、挑戦が失敗したとしても、良いチャレンジが出来たことを讃えあえる仲間ができたことが収穫です。

日本が認知症フレンドリー社会を作っていく上で、確かなパワーになっていくだろう頼もしいメンバーとつながれた手応えを感じる、認知症まちづくりファシリテーター講座となりました。今回は参加できなかった方々とも、今後つながる機会をぜひ作っていきたいと思っています。
ご指導ご協力いただいた皆様によりまして素晴らしい講座を開催できましたこと、心より感謝いたします!
(記:認知症フレンドシップクラブ 三浦)

■主催 NPO法人認知症フレンドシップクラブ
■協力 株式会社フューチャーセッションズ 、富士通デザイン株式会社
■助成 日本財団

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